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☆祝★寺田勢司さん(文校修了生)、第17回岡山県「内田百閒文学賞」の最優秀賞を受賞!◎寺田(猪村)さんは今までに、第40回(2023年)さきがけ文学賞、第27回(2024年)伊豆文学賞を受賞。

大阪文学学校夜間部修了生の寺田勢司(てらだ・せいじ)さんが、短編小説「泣き女(め)」(50枚)で、第17回岡山県「内田百閒<ひゃっけん>文学賞」の最優秀賞を受賞しました。
岡山県と公益財団法人岡山県郷土文化財団が主催する“岡山にゆかりのある文学作品”の全国公募で、今17回の応募総数は305編でした。最終審査員は、小川洋子、平松洋子、松家仁之の三氏。

大阪府吹田市の寺田さんは、2019年4月に文校夜間部に入学し、前期は小原クラスで、後期は西井クラスでした。本科修了後、1年間休学。
小原クラスの時代、時間がもったいないからと電車や地下鉄は使わず、自家用車で通って来ていました。それでもクラスゼミ後の、居酒屋〈すかんぽ〉での2次会には毎回顔を出していました。酒は飲まずに、皆とのにぎやかな文学的談笑に加わっていました。
◎寺田さんは今までに、第40回(2023年)さきがけ文学賞第27回(2024年)伊豆文学賞を受賞されています。さきがけ文学賞のときは、ペンネーム・猪村勢司(いむら・せいじ)を名乗っていました。
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寺田さんの内田百閒文学賞・受賞作「泣き女(め)」の(作品の概要)と(審査員講評)は、岡山県郷土文化財団のHPによると次のとおり。
◎(作品の概要)◎
 江戸時代、美作津山の坪井に住む産婆ひさは、貧しい百姓のお産に立ち会う。生まれた女児は養子に出すか、間引くかを依頼され、ひとまず赤子を連れ帰る。また、当地の産婆は、死者の身体を清める湯灌や葬儀の際に泣いて送り出す「泣き女」という役も担っていた。
 ある日、「泣き女」を依頼された家の幼女から、祖父は笑って送ってくれと言っていたという意向を聞かされる。幼女が笑って送ろうとして家人に止められる中、ひさたちはためらったものの幼女のひたむきな態度に心打たれ笑って送り出した。慣習をやぶったことで詮議されるが、生死に関わる者の心の内を述べ、また、家で預かっている女児は自らが育てる決心をする。
◎(審査員講評)◎
 かつて日本の習俗のなかに根付いていた産婆、子殺し、泣き女、湯灌を取り上げ、女性たちが担わされてきた苦楽を描く。土俗的なテーマを扱いつつ、タブーやエロスの世界にも踏み込み、為政者と底辺を生きる者との構図も鮮やか。現代を撃つ作品である。
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◆隔年開催の内田百閒文学賞の歴史をさかのぼれば、榊原隆介さん(2001年10月から文校通教部に6年間在籍/当時岡山市に在住)が第9回同賞・長編部門で最優秀賞[第1席]を受賞しています。その受賞作『おおづちメモリアル』は、作品社から単行本になっています。なお、長編部門の募集があったのはこの第9回まで。
◆また鷲見京子さん(2018年4月から文校昼間部に休学をはさみながら4年間在籍/当時倉敷市に在住)が、第16回同賞の優秀賞[第2席]を受賞しています。

(小原)