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田辺聖子さんのご冥福をお祈りします。

 大阪文学学校出身の作家である田辺聖子さんが6月6日、91歳でご逝去されました。
 田辺聖子さんは、1964年に芥川賞を受賞する以前、55年から57年にかけて、半年間ずつ2度、大阪文学学校の夜間部に週3回通っておられました。そのころの文学学校のことを、田辺さんは自伝的小説『しんこ細工の猿や雉』で詳しく振り返っています。
 また田辺さんが、430名という大勢の文学学校関係者の前で講演された最後は77歳のときで、2004年3月の“大阪文学学校50周年記念祭”においてでした【写真】。そのときの講演録には、「文学学校には、様々な人がいましたから、様々な人生を知ることができた。刺激的で楽しいところでした」とあります。またご自身の姿勢として「大阪弁で書く小説を皆が喜んでくださったり、買ってくださったり、愛してくださったりする以上は、やっぱり大阪にいて大阪を書きたい」と述べられています【文学学校発行の文芸誌『樹林』2007年11月号の特集“田辺聖子、その多彩な文学世界”の中に講演録「私の文学人生」は収録されています】。
 今日も、「田辺さんの著作から文学学校を知った」と文学学校に入学してくる人が絶えません。庶民的で軽妙な大阪の文学の一時代を築いた方でした。小野十三郎賞創設にあたって賛助金を寄せてくれるなど、大阪文学学校の存続に少なからず貢献された田辺聖子さんのご冥福をお祈りします。