☆新刊紹介☆方政雄さん(昼間部研究科休学中)作品集『白い木槿(むくげ)』(新幹社/2,000円+税)
兵庫県伊丹市の方政雄(パン・ジョンウン)さんは、2015年4月に大阪文学学校の昼間部小説・佐久間クラスに入学しその後、夏当、津木林、島田、葉山、錺の各クラスに1年間ずつ在籍し、現在は休学されています。
小説集『白い木槿(むくげ)』(新幹社)に収められている表題作をふくむ4編はいずれも、文校の所属クラスで合評をうけて書き直したものです。
以下に、文校のことにも触れている作者「あとがき」を全文紹介します。
ー--『白い木槿(むくげ)』の「あとがき」ー------
在日コリアンとして日本に生まれ、生きていく中で気がつくと「くすぶった思い」を持ち続けている自分がいました。しかし日々の生活に追われ、いつもの日常が過ぎていきます。くすぶった思いの昇華の手段として「小説」に向かったのは、小説世界に入ることで救われた思いが幾度かあったからです。
高校教員生活を終え、意を決して「大阪文学学校」の扉を恐るおそる開けました。今まで生きてきた在日コリアンとしての思いを、素朴な庶民の視点から喜び悲しみを淡々と描きたい、そんな希望を持って入った「文学の森」の道は険しく、進むことも戻ることもできない時期が何度かありました。同じ思いを持った仲間に救われ、今に至っています。
この間書き綴った中短編の中から四編を選びました。幸いなことに「文学賞」と名のつくささやかなご褒美も何度かいただき、それが歩み続ける励みともなりました。
「くすぶり」はそう簡単には消えそうもありません。それがある限りこれからも精進していきたいと思っています。
出版にあたり、大変お世話になりました新幹社・高二三氏、推薦文を書いていただきました金時鐘氏、そして支えてくださいましたすべての友人たちに、深い感謝を申し上げます。
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(小原)