小野十三郎賞 決定!

 第26回小野十三郎賞は、9月20日(金)の最終選考会において、下記のように決まりました。選考委員は、詩集部門(細見和之、四元康祐、犬飼愛生)、詩評論書部門(葉山郁生、添田馨、冨上芳秀)の六氏です。
 今回、選考対象としたのは、7月10日締め切りまでに全国各地から応募のあった詩集120冊、詩評論書5冊でした。
 
 

《第26回小野十三郎賞》

■詩集部門(賞金30万円)
『途中の話』(思潮社 刊) 和田まさ子/東京都


■詩評論書部門(賞金30万円)
『萩原朔太郎と詩的言語の近代』(思潮社 刊) 安智史/愛知県

――授賞理由――
【詩集部門】和田まさ子さんの『途中の話』は、地名と日本近代文学の作者名をブイのように用いて、日本の現在の危うい姿を浮かび上がらせている。これは詩にしかなし得ない表現として高く評価された。非人間的な視点を導入している点も注目を集めた。
【詩評論書部門】安智史さんの『萩原朔太郎と詩的言語の近代』は、萩原朔太郎の詩業をめぐる各論をていねいに積み上げ、その全体像を描くとともに、萩原恭次郎、丸山薫、中原中也らとも関連づけ、近・現代詩史の一つの系譜をあとづけた詩評論書の力作として評価した。

――第26回小野十三郎賞の最終候補――
■詩集部門(受付順・13点)
『ふぇっくしゅん』堀内統義(愛媛県/創風社出版)
『戦禍の際で、パンを焼く』若尾儀武(神奈川県/書肆子午線)
『祭りの夜に六地蔵』服部誕(大阪府/思潮社)
『わが方丈記』林嗣夫(高知県/土曜美術社出版販売)
『僕たちはなくしたことばを拾いに行こう』南雲和代(東京都/土曜美術社出版販売)
『骨霊譚』川上明日夫(福井県/山吹文庫)
『いちご月の夜』月川奈緒(京都府/澪標)
『通知コンティニュー』澳羽ねる(福井県/草原詩社)
『北浦街道』魚本藤子(山口県/土曜美術社出版販売)
『晴れ舞台』橋爪さち子(大阪府/土曜美術社出版販売)
『途中の話』和田まさ子(東京都/思潮社)
『ストーマの朝』河野俊一(大分県/土曜美術社出版販売)
『ひとがた彷徨』こたきこなみ(東京都/思潮社)
■詩評論書部門(受付順・3点)
『げんげの花の詩人、菅原克己』金井雄二(神奈川県/書肆侃侃房)
『萩原朔太郎と詩的言語の近代』安智史(愛知県/思潮社)
『詩的原理の再構築』野沢啓(東京都/未來社)

 贈呈式は、きたる11月16日(土)午後1時半より大阪市北区中之島フェスティバルタワー12階「アサコムホール」において行います。

[主催]一般社団法人大阪文学協会〈小野十三郎賞実行委員会〉
[共催]朝日新聞社
[後援]大阪府/大阪市/桃谷容子基金/澪標

過去の受賞者一覧
第1回受賞
小野十三郎賞
詩集『墓を数えた日』 瀧 克則(大阪府)
小野十三郎賞記念特別賞
詩誌『核』(北海道)/詩誌『三重詩人』(三重県)
第2回受賞
小野十三郎賞
詩集『言葉の河』 高橋 秀明(北海道)
第3回受賞
小野十三郎賞
詩集『夕方村』 八重洋一郎(沖縄県)
詩評論書『詩論の現在Ⅰ~Ⅲ』 北川 透(山口県)
第4回受賞
小野十三郎賞
詩集『陣場金次郎洋品店の夏』 甲田 四郎(東京都)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『マンデリシュターム読本』 中平 耀(神奈川県)
第5回受賞
小野十三郎賞
詩集『バース』 苗村 吉昭(滋賀県)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『戦後関西詩壇回想』 杉山 平一(兵庫県)
第6回受賞
小野十三郎賞
詩集『朝鮮鮒』 渋谷 卓男(神奈川県)
第7回受賞
小野十三郎賞
詩集『語族』 添田 馨(埼玉県)
第8回受賞
小野十三郎賞
詩集『学校』 たかとう匡子(兵庫県)
第9回受賞
小野十三郎賞
詩集『影たちの墓碑銘』 長津功三良(山口県)
詩集『宙家族』  中岡 淳一(大阪府)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『栗生楽泉園の詩人たち』 久保田穣(群馬県)
第10回受賞
小野十三郎賞
詩集『ババ、バサラ、サラバ』 小池 昌代(東京都)
詩集『ナナカマドの歌』 田中 郁子(岡山県)
小野十三郎賞記念特別賞
詩評論書『評伝 パウル・ツェラン』 関口 裕昭(愛知県)
第11回受賞
小野十三郎賞
該当作なし
小野十三郎賞特別奨励賞
詩集『象牙の塔の人々』 山口 春樹(大阪府)
詩集『野川』 岡島 弘子(東京都)
第12回受賞
小野十三郎賞
詩集『青天の向こうがわ』 三井喬子(石川県)
小野十三郎賞特別賞
詩評論書『山上の蜘蛛』 季村敏夫(兵庫県)
第13回受賞
小野十三郎賞
詩集『水源地』 谷元益男(宮崎県)
第14回受賞
小野十三郎賞
詩集『真心を差し出されてその包装を開いてゆく処』 宋敏鎬(群馬県)
第15回受賞
小野十三郎賞
詩集『ワイドー沖縄』与那覇幹夫(沖縄県)
第16回受賞
小野十三郎賞
詩集『農場』杉谷昭人(宮崎県)
第17回受賞
小野十三郎賞
詩集『ツィゴイネルワイゼンの水邊』平林敏彦(神奈川県)
小野十三郎賞特別賞
詩集『地球にカットバン』宮内憲夫(京都府)
第18回受賞
小野十三郎賞
詩集『九月十九日』 森水陽一郎(千葉県)
小野十三郎賞特別賞
詩集『黎明のバケツ』平野晴子(愛知県)
第19回受賞
小野十三郎賞
詩集『賜物』金田久璋(福井県)
詩評論書『鮎川信夫、橋上の詩学』樋口良澄(神奈川県)
第20回受賞
小野十三郎賞
詩集『結晶体』吉田義昭(東京都)
詩集『シバテンのいた村』西岡寿美子(高知県)
第21回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『stork mark(ストークマーク)』犬飼愛生(愛知県)
〈詩評論書部門〉
『クリティカル=ライン 詩論・批評・超=批評』添田馨(埼玉県)
第22回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『悪い兄さん』今野和代(大阪府)
『賑やかな消滅』永澤幸治(富山県)
〈詩評論書部門〉
『終わりなき漱石』神山睦美(埼玉県)
第23回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『反暴力考』冨岡悦子(東京都)
〈詩評論書部門〉
該当作なし
小野十三郎賞特別賞
〈詩集部門〉
『しのばず』青木由弥子(東京都)
『名づけ得ぬ馬』颯木あやこ(神奈川県)
小野十三郎賞特別奨励賞
〈詩評論書部門〉
『詩人・木下夕爾』九里順子(宮城県)
第24回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『さざえ尻まで』新井啓子(群馬県)
〈詩評論書部門〉
該当作なし
小野十三郎賞特別奨励賞
〈詩評論書部門〉
『わたしたちのたいせつなあの島へ―菅原克己からの宿題―』宮内喜美子(東京都)
第25回受賞
小野十三郎賞
〈詩集部門〉
『水差しの水』江口節(神戸市)
〈詩評論書部門〉
該当作なし
小野十三郎賞特別奨励賞
〈詩評論書部門〉
『伊東静雄―戦時下の抒情』青木由弥子(東京都)