●新入生「ハガキ一枚」課題●・・・作品発表・第2弾【通教部・海本友子さん/夜間部・TAさん】★提出まだの方は、急いでください。
今春の新入生57名のみなさんに提出をもとめている〈課題ハガキ〉の既着分の中から、5/7文校ブログで取り上げた立花十子さん、鈴木悟さん、廣瀬浩さんの作品に次ぐ第2弾として、海本友子さん(通教部/75歳)の「文学学校入学にあたって」とTAさん(夜間部/31歳)の「私のふるさと」を紹介します。
〈課題ハガキ〉の締切は、5月31日(金)必着です。提出作品は全て、「文校ニュース」に載せ、文校の多くの皆さんの眼に触れられるようにします。
ハガキの代わりに、メールで送っていただいてもかまいません。むしろ、そのほうが助かります。 【小原】
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文学学校入学にあたって
海本友子(通・エッセイ/ノンフィクション・菅野c 岡山県倉敷市)
なんだかまた思春期のような。私の心も日常も揺れている。
今日まで、仕事、子育て、コミュニティなどなど、とりあえず人並みにこなし、ひた走りに走った。すべてがまずまず。安定の人生。
でも、あの混沌とした思春期がかえってきてしまった。
原因は、文校だ。送られてくる冊子や雑誌、ブログ記事、情報に揺さぶられている。
中学校、高校、大学で言葉を扱う教員をし、ちょっとした文章も様々に書き、発表もしてきたが、上澄みだけだったと思い知ることになり、悲しくなっている。
今まで気になりながら読んでない本、文校関係で知った本、溜め込んでいる何十年分の文藝春秋、オール讀物の芥川賞、直木賞などなど、片っ端から読んでいる。
第1回目の作品提出には、締め切りと自分の目標枚数を目指して書いた。初めて50枚を目標に書いた。こんなにも書けないのかと惨憺たる思いをしたが、達成感はあった。
予想以上に早く届いたチューターからの講評、いや~早い!。厳しくも丁寧、的確!こんなに真っ正面から自分の文章を読んでもらったのは初めてだ。真っ赤になった原稿がうれしい。
こうしている間にも2回目の原稿提出日が近づいてくる。今までの経験もキャリアも吹っ飛んで、本当に新入生、老いる間もない思春期だ。
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私のふるさと
TA(夜・小説・西井c 奈良市)
私のふるさと、愛媛県がなぜダメなのか。まず、性格がおだやかすぎる。これについては、完全に瀬戸内海が悪い。瀬戸内はいつも湖のように凪いでいる。それを見てほっこりしながら、愛媛県人はみな大人になっていく。
挙げ句、愛媛県人はどうなるか。あるとき道後でこんな光景を目にした。商店街にある茶屋が「一六タルト、揚げてみました!」と書いた旗を得意げに店先に出していた。愛媛県人よ、目を覚ませ。そんなことは得意げに言うものではない。
高知県を見よ。高知県人は日々太平洋の荒波にもまれながら、命を懸けて生きている。竜馬が生まれるのも当然である。
愛媛県人よ、君達は知っているか。彼ら高知県人がカツオに寄生するアニサキスをボールペンの芯に詰めて売っていることを。間違いない。私はこの目でそれを見たことがある。愛媛県人よ、君達がタルトを揚げて喜んでいる間に、高知県人は、必死の形相でアニサキスをボールペンに詰めているのである。
愛すべき愛媛県人よ、『坊ちゃん』という小説があるだろう? 君達はこれを大層有難がっている。「坊ちゃん団子」「坊ちゃん列車」などと、ぼっちゃんぼっちゃん言って喜んでいる。
けれど、あれは愛媛県人を小馬鹿にした小説である。あれは愛媛県人がいかにうだつの上がらない民であるかを、一々あげつらった書である。どうだ、愛媛県人よ。君達は一度でもあの小説を読んだことがあるか。
愛すべき愛媛県人は今日も平穏に生きている。