☆新刊紹介★田原範子さん(文校修了生/大学教員)『アルバート湖岸の生活誌――ウガンダ共和国北西部のアジール』(風響社/300頁/4,000円+税)
≪カバー写真(いずれも田原さんの撮影)≫
[表]ナイルパーチを掲げる漁師アドゥバ
[裏]対岸のコンゴ民主共和国ブルーマウンテンに沈む夕陽
田原範子(たはら・のりこ)さんは現在、四天王寺大学人文社会学部教授。大阪文学学校には、2013年4月から23年9月まで夜間部や昼間部に在籍されています。アフリカへフィールドワークへ行く期間は、たびたび休学でした。
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田原さんの担当チューターだったことのある平野千景さんが、『樹林』25年1月号に『アルバート湖岸の生活誌』について長めの“書評”を寄せています。そこから、冒頭部分をいくらか抜粋させていただくと――――
【この本は、アルバート湖岸での長年にわたるフィールドワークで得た知見と考察の集大成であり、さまざまな事柄が詰まっている。社会科学系の学術書として出版されたため研究データの表やグラフが多く、物語のようにすいすいと読み進められる類の本ではない。けれども読み通してみると、いかに自分が安穏とした日常にどっぷり浸っているかが思い知らされ、簡単には言葉にできない何かがずしりと残った。研究者しか興味が引かれないような、生活とは無縁な堅苦しい内容では決してなく、その調査の背後からは、生活の糧を求めて移動を続ける、多様な民族の人びとの逞しさ、生き生きとしたコミュニティの姿、そして個としての男女の暮らしが想像できる。
著者の田原範子さんは、2010年代に大阪文学学校に在籍され、ご自身の体験を基にしたエッセイや小説を書いてこられた。なかには幻想的な作風の作品もある(多くは、筆者が属している同人誌『てくる』で発表)。】
(小原)