五藤さやかさん(ペンネーム;五百川 久/24年3月まで文校夜間部生)の小説「ノラゾンビ」(651枚)が、選考会で高評価も惜しくもメフィスト賞をのがす!
兵庫県の五藤さやかさんは、2021年4月に大阪文学学校に入学し24年3月まで昼間部や夜間部に在籍。夜間部大西クラス(金)でチューターやクラス生の合評を受けとめながら1年間かけて書き継いだ小説「ノラゾンビ」(4百字詰原稿・651枚)を講談社のメフィスト賞に応募していました。
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メフィスト賞とは、主催の講談社の「募集要項」よれば、【京極夏彦さんが先鞭をつけ、森博嗣さん、清涼院流水さん、西尾維新さん、辻村深月さんなどミステリー、エンターテインメントの異才を送り出してきた】とのことで、応募枚数に上限はなく、受賞しても賞金はありませんが、即書籍化されるとのことです。
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メフィスト賞は毎回(年2回)500編を超える応募があるようです。そのれほどたくさんの応募作の中で、五藤さん(五百川久/いおかわ・きゅう)の「ノラゾンビ」が受賞に手の届くところだったことが、メフィスト賞の選考会にあたる、講談社の編集者たちによる“2024年下期座談会”からうかがえます。“座談会”で最終に残った9作を検討した結果、今回は受賞作なしということでした。
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“座談会”の中で、五藤さん(五百川久)の「ノラゾンビ」に言及されている箇所を以下に抜粋します。
【①ノラゾンビ ②五百川 久 ③ノラ犬ゾンビに注意!
それはとある限界集落から始まった。ゾンビと化したひとりの村人が突如隣人に嚙みついたことをきっかけに、半年後には全国へゾンビ被害が広まった。その後、政府の迅速な対応により捕獲に成功。捕獲されたゾンビはシェルターへ収監されたが、その扱いを巡って「ゾンビ愛護派」と「反ゾンビ派」による対立が深まってゆく。そんな中、反ゾンビ派議員の幼い息子がゾンビに嚙まれ、極秘でゾンビシェルターに収監されることになった。愛護派によるリークを避けるため、主人公の美近は公安の秘密捜査官として、上司で行方不明の父の元同僚の豊松から潜入するよう命じられる。そこで美近は謎めいたシェルター職員・葛木と知り合う。葛木の正体は? ゾンビ発生の原因は? ゾンビに人権はあるのか?
まず、ゾンビに人権はあるのか? という命題にグッと心を摑まれました(ゾンビ愛護派と反ゾンビ派の戦い)。また、感染拡大のパニックの様子を描くのではなく、感染拡大してゾンビと共存している社会、というところからスタートするのも、これまでのゾンビものと一線を画していると感じます! 我々読者が生きているアフターコロナの世界でこの小説が書かれたのも、効果的ですね。文章も読みやすく、キャラクターの書き分けもできていると思います。現実世界に起こった出来事を小ネタとしてうまく使う力もあると感じました! また、ミステリでもあり、最後に驚かされるのもとてもいいですね。「読者を楽しませよう!」という気概を感じます。】
(小原)