文校ブログ

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☆祝★岡本佳奈さん(大阪文学学校修了生/35歳)が第59回北日本文学賞を受賞。文校出身者では3人目の受賞。岡本さんは4年前には、同賞の選奨(第2席)に選ばれている。

2018年3月までおよそ3年半、文校夜間部に在籍されていた岡本佳奈さんの小説「月と鱧(はも)」(30枚)が、宮本輝氏選「第59回北日本文学賞」(主催;北日本新聞社)に選ばれました。国内外からの応募880編の中から。副賞100万円。
岡本さんの受賞作「月と鱧」は、1月1日(水)の北日本新聞紙上に全文掲載されていて、2月2日(日)午後4時からはKNBラジオで朗読が放送されます。
贈呈式は1月25日(土)、富山市内のホテルで。
下の引用は、北日本新聞ウェブ・受賞者インタビューから。

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■心の機微を等身大で 「クスッと笑ってもらえたら」/岡本佳奈さん■

 2020年に初めて応募した作品が最終候補に入り、翌21年には選奨を受けた。「三度目の正直」の今回、念願の北日本文学賞を射止めた。「階段を1段ずつ上ってここまで来た感じがする。挑戦して良かった」とほほ笑む。

 小説の創作を始めたのは20歳の時。25歳からは本格的に執筆を学ぼうと、作家の田辺聖子さんらを輩出した大阪文学学校で3年間学んだ。現在は飲食店で働きながら、原稿用紙150枚以上の中編を中心に書き、年に2、3作のペースで公募文学賞に挑戦している。19年に大阪女性文芸賞を受賞し、23年には集英社の「すばる文学賞」で最終候補に残るなど、着実に力を付けてきた。

 北日本文学賞へは、選奨受賞以来3年ぶりに応募した。久しぶりに書く短編の構想を練っていた昨年春、入賞作が元日の紙面に掲載されることを思い出した。能登半島地震や羽田空港での航空機衝突事故から、ちょうど1年となる正月。多くの人が悲しい記憶を思い出すタイミングに、自分ならどんな物語を読みたいか―。そうイメージしながら書き上げたのが、入賞作の「月と鱧」だ。

 派遣社員の舞子を主人公とした一人称小説。仕事帰りに商店街で買い物したり、ワンルームマンションで料理をしたり、音楽をかけながらトイレの電球を交換したり…。43歳の舞子の、何げない「オフ」の日の姿が、日記のようにつづられる。一文をできるだけ短くし、テンポ良く読み進められるよう気を配りながら、1人暮らしの女性が人知れず抱える不安や孤独感、暮らしの中のささやかな幸せといった心の機微を等身大で描き出した。

 舞子の挙動や言動は、やや鈍くさくも憎めない。読み手が「あるある」とうなずいてしまうような日常のシーンも、随所にちりばめた。「つらい思いをした人を励まそうとか、寄り添いたいとか、そんなおこがましいことを言うつもりはない。ただ、少しでもクスッと笑ってもらえたら」

 自身も大阪市内で1人暮らしをしており、自らと境遇や性格が重なる女性を主人公とすることが多い。町で見かけた人やもの、友人との雑談など、日々の生活の中から小説の題材を拾い集めている。作中に登場する店「八百魚」は、自宅の近所にある行きつけの店をモデルにした。舞子がぎっくり腰に苦しむくだりも、実体験に基づいたものだ。

 「今後も自分の好きなものや身近なモチーフを書き続けたい」としつつ「自分とは全然違ったおじいさんが主役の物語も、いつか書いてみてもいいかも」とも話す。受賞を原動力に、さらなる創作意欲をにじませた。

◆プロフィル◆ おかもと・かな 1989年神戸市生まれ。高校中退。2021年第55回北日本文学賞選奨。

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◆大阪文学学校の修了生で、59回を数える「北日本文学賞」(第1席)を受賞された方は過去に、2人います。今回の岡本佳奈さんは、久々の3人目ということになります。
◎第40回(2005年度)・・・飛田一歩さん・作品名「最後の姿」
◎第4回(1969年度)・・・山村睦さん・作品名「大鹿」

◆第2席にあたる「選奨」(副賞30万円)に選ばれた文校の修了生・在校生は今までに、4年前の岡本佳奈さんを含めて7人います。
◎第57回(2022年度)・・・平石蛹さん<当時25歳/20年9月まで1年間夜間部に在籍>・作品名「渦の底から」
◎第55回(2020年度)・・・岡本佳奈さん・作品名「家外不安全」
◎第54回(2019年度)・・・囃方怯(はやしかた・ひるむ)さん・作品名「庭」
◎第53回(2018年度)・・・石井渉さん<当時80歳/20年3月まで16年半昼間部などに在籍>・作品名「ピカドンと天使と曼珠沙華」
◎第49回(2014年度)・・・三原てつをさん<昼間部研究科休学中>・作品名「空の味」
◎第40回(2005年度)・・・藤岡陽子さん<『リラの花咲くけものみち』(光文社)で第45回“吉川英治文学新人賞”受賞>・作品名「結い言(ゆいごん)」
◎第36回(2001年度)・・・吉澤薫さん・作品名「空を仰ぐ」

(小原)