●作品発表【第3弾】・・・新入生「ハガキ1枚」課題
今春の新入生75名のみなさんに、提出をもとめている〈課題ハガキ〉の既着分のなかから印象的な作品を紹介する第3弾は、前田寛昭さん(昼間部/71歳)のものです。
第1弾は沖末浩未さん、中野華さん二人の作品(5/8文校ブログ)、第2弾は菱田律子さんの作品(5/11文校ブログ)でした。
〈課題ハガキ〉の締切は、5月24日(月)必着です。提出作品は全て、「文校ニュース」に載せ、文校の多くの皆さんの眼に触れられるようにします。
ハガキの代わりに、メールで送っていただいてもかまいません。 (小原)
☆ ☆
文学学校入学にあたって
前田 寛昭さん(昼・小説・夏当c 兵庫県西宮市)
3年前の7月、同居していた義母が103歳で他界し、9月には実母(名古屋で妹と同居)が93歳で他界しました。その年の12月、人生の分岐点と捉え、45年務めた会社をリタイアし、次のステージへと舵を切りました。
これといった趣味や挑戦したいものも無く、妻と二人のんびりと年金生活を送れればそれで良しとする選択でした。息子、娘や孫を連れて温泉旅行、仲間との競馬、麻雀、飲み会などスケジュールに追われる一年でした。
介護を必要とする老人二人抱え、泊りがけの家族旅行や長期出張を控える窮屈な日常生活が続いた反動もあり、かなり精力的に出歩いたわけです。
71歳という年齢はマラソンでいえば40㎞を超え、ラスト2,2㎞、完走を目指し最後の深呼吸を吐く時です。途中山あり谷あり、バブルや大震災、リーマンショックも経験しました。
人生の節目でなんとか山谷を乗り越え(家庭内トラブル、組織内出世争いetc)、残された老後をのんびりとジョギング感覚でゴールを目指すつもりでした。
ところが昨年の2月、例のコロナ騒動が始まったわけです。
不要不急の外出を控えるため旅行もダメ、孫を連れて娘が里帰りするのもダメ、3密を避けるため飲み会やマージャンもダメ。
日常が一気に窮屈生活に戻りました。趣味無し人間はどうしようもありません。妻と二人、晴耕雨読といった山里仙人のような毎日を送るしかありません。
そんな時に出会ったのが《大阪文学学校》の朝日新聞広告欄でした。
本を読むのは好きでしたが、モノを書き、不特定多数の人に読んでもらうという発想はありませんでした。
目指すものが何か形になるのか、完走出来ずただのトライで終わるのか、今は分かりませんが、自分の人生最期の挑戦になるはずです。