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第23回小野十三郎賞(詩集部門、詩評論書部門)きまる。

7月10日をもって締め切った第23回小野十三郎賞には、全国各地(北海道から沖縄まで)から詩集124冊、詩評論書13冊の応募がありました。前々回(第21回)から詩集部門と詩評論書部門に分けて選考していますが、各々に正賞(賞金各30万円)を設けています。予備選考委員は、高田文月、冨上芳秀、中塚鞠子、細見和之、山田兼士、松本衆司(2回目のみ)の6氏で、2回にわたる予備選考を行いました。

本日(9/24)午後1時から、共催をいただいている朝日新聞社の協力を得て大阪市内で、オンライン併用の選考会を実施しました。最終選考委員(詩集部門 倉橋健一、坪内稔典、三井喬子、犬飼愛生/詩評論書部門 葉山郁生、細見和之、山田兼士)の7氏により、最終候補の詩集10冊、詩評論書5冊について、詩集部門はほぼ3時間、詩評論書部門は2時間におよぶ討議の結果、以下のとおり決定しました。



【写真・上】詩部門の選考の模様
【写真・下】詩評論書部門の選考の模様

《第23回小野十三郎賞 詩集部門(賞金30万円)》
〇詩集『反暴力考』(響文社 刊)
冨岡 悦子(とみおか・えつこ) 東京都
《第23回小野十三郎賞特別賞 詩集部門(賞金10万円ずつ)》
〇詩集『しのばず』(土曜美術社出版販売 刊)
青木 由弥子(あおき・ゆみこ) 東京都
〇詩集『名づけ得ぬ馬』(思潮社 刊)
颯木 あやこ(さつき・あやこ) 神奈川県

《第23回小野十三郎賞 詩評論書部門(賞金30万円)》
〇該当作なし
《第23回小野十三郎賞特別奨励賞 詩評論書部門(賞金10万円)》
〇詩評論書『詩人・木下夕爾』(翰林書房 刊)
九里 順子(くのり・じゅんこ) 宮城県

●詩集部門● 冨岡悦子さんの『反暴力考』に決定した。また、今回は力作が多く、青木由弥子さんの『しのばず』、颯木あやこさんの『名づけ得ぬ馬』に特別賞を授与することにした。冨岡さんの詩集は時代性を鋭く捉え、読者に作品世界へ参入を深く促すところ、青木さんの詩集は微視的な視点で対象を捉え内的なリズムをもった言葉を紡いでいるところ、颯木さんの詩集は知的な言葉を用いて内部感覚を鋭く表しているところが、それぞれ高く評価された。
●詩評論書部門● 今回最終候補に傑出した作品は見当たらず、残念ながら本賞の授与は見送ることになった。ただし、九里順子さんの『詩人・木下夕爾』は、地方で詩人・俳人として地道に活動しつづけた木下夕爾に粘り強い研究をつうじて貴重な光を当てたものとして、特別奨励賞を授与することとした。

一昨年の21回までは、選考会のあと大阪文学学校に場を移し、記者発表を行っていましたが、昨年に続き今年もコロナ禍を考慮し、それは控えました。その代わり、各新聞社をはじめ報道機関に、受賞決定のFAXを流しました。
朝日新聞の明日(25日)の朝刊(社会面)をご覧ください。

なお第23回小野賞贈呈式は、コロナ対策のため規模を縮小し、大阪市北区の朝日新聞社内会議室において受賞者本人への賞の授与のみを行う予定です。

◆小野賞を主催しているのは、大阪文学学校の運営母体である一般社団法人・大阪文学協会(代表理事;葉山郁生)。小野十三郎さんは、大阪文学学校創立の1954年から91年まで校長を務め、96年10月に93歳で亡くなるまで名誉校長でした。

(小原)