新刊紹介☆森野康子さん(文校修了生)児童文学『わたし ゆっこよ』(私家版)
大阪市の森野康子さんは、大阪文学学校へは2005年4月に入学し21年3月まで、昼間部などに16年間も在籍されています。
献本に添えられていた手紙には、「・・・・・・コロナのスティホームなど、家に居る時間が増えたのを幸いに今までの作品の一部を本にしてみました。・・・・・・一冊文校にも送らせて頂きます。OBの作品集の本棚に加えて頂ければ幸いです」と、ありました。
290ページおよぶ6章立ての児童文学『わたし ゆっこよ』の“おわりに”を、以下に抜粋して紹介します。
【・・・・・・私は、数年前まで、大阪文学学校で小説の書き方を勉強していました。入学当時、なにを書けばいいのか分からず、子どもの頃の思い出を書いていましたが、チューターに、「あなたの思い出ではなく、小説が読みたいのよ」と言われました。
そこで、実家周辺を「紅葉坂」、主人公に「ゆっこ」と名をつけ、少しずつ、フィクションに移していきました。チューターからは、「小説の中のゆっこを、大人の作者のあなたからもう少し解放してほしい。作者とは微妙に違う。そのことで、作者は過去の記憶とは違うゆっこを生きられる。生き直せる。記憶書きから、小説になるのです」と何度も助言を受けました。
それから十余年、心の片隅のゆっこと共に、いくつかの物語を作りました。
紅葉坂も精麗園も、そして杉山家の人たちも物語の中の世界です。でも、家族や故郷とどこかで繋がってもいます。・・・・・・】
(小原)