新入生73名(夜18、昼21、通教34)の皆さんへの「ハガキ一枚」課題、25名から届いています。◆作品発表・第1弾【通教部・桑島良夫さん/夜間部・竹内華子さん】
今春の新入生73名の皆さんに、5月になってから、ハガキ一枚の課題を出しました。
【◎私のふるさと ◎文学学校入学にあたって ◎私を売り込みます ◎私の歩んできた道 ◎私だけのもの ◎最近強く思うこと】という六つのタイトルのうちからひとつを選び、所定のハガキ一枚に400字~600字ほどで書いて〈ワープロ・パソコン可〉、事務局へ持参か郵送してください、とお願いしてあります。
まだ出していない方、ハガキのかわりに、メールで送っていただいてもかまいません。むしろ、その方が助かります。締切は6月2日(金)必着です。提出作品は全て、「文校ニュース」に載せ、文校の多くの皆さんの眼に触れられるようにします。
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今日までに25名の方から届いているのですが、その中から、桑島良夫さん(通教部/66歳)、竹内華子さん(夜間部/41歳)お二人の作品を紹介します。・・・・・・・・・(小原)
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私の歩んできた道 桑島良夫(通・小説・美月クラス/高知県)
私は乳児期に、ポリオ・ヴァイラスに侵されて足が不自由となった。このため「歩む」ことができなかった。この課題、「歩んできた道」を選んだのは逆説でもある。
世は身障者に対してとても冷たい。屈辱にまみれた毎日を私は送ってきたのだが、ある日、ふと覚束なくもひも解いた、サミュエルソンのテキスト「経済学」のなかに、米国での最高の富裕層は医師なのだ、という記述を見つけた。そして祖国・日本でも事情はあまり変わるまい、と私はその時解釈した。そこで私は私の周囲の差別や偏見を反転させるために、医師を目指すことに決め、勉学に励むようになった。私自身の「歩んできた」道はこのように苦渋に満ちつつも、ある意味では単調・単純なものだったのだ。
そして、国立大学・医学部合格の瞬間、私の周囲から差別や偏見は見事に消え去っていった。陰湿だった田舎町は、輝くように思われた。
それから半世紀、医師である現在の私は【高性能電動車椅子】に乗って、街を職場を「走り」ながら、人生を取り戻しつつ、それを謳歌しているのだ。
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文学学校入学にあたって 竹内華子(夜・小説・西村クラス/兵庫県)
助産師・看護師として20年の間に経験してきたたくさんのこと(妊娠出産のケア・助産院経営・望まない妊娠や中絶・特別養子縁組・子どもの障害・看取り・在宅介護・小中学校での子どものケア・アクション映画撮影の現場でのケアなど)を元に、小説を書きたいと思っています。書きたいことはいっぱいありますが現状技術が伴っていなくて書けないので、書きたいことが書けるように、文章を自由自在に操れる技術を習得したいと思い、入学を決めました。入学して実際に合評に参加して、毎回学ぶことがたくさんあります。直接小説の書き方を指導してもらう授業ではありませんが、合評を通して理解することは多いです。
先日初めての作品を、短編ですが提出しました。漠然といつか書きたいなぁと考えるだけ…ではなく、実際に作品を書くには、かなり大変な『産みの苦しみ』があるのだなぁと知りました。スムーズに書けなくて、何も書けなくて、提出をあきらめようかと何度も思いました。でも、なんとか産みました。これからももがき苦しみながら作品を産み出して、そのたびに少しずつでも成長していきたいと思っています。