講師紹介/冨上 芳秀とかみ よしひで
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- 担当科目:
- 本科
- 担当部門:
- 通信教育部
- 担当クラス:
- 詩・エッセイクラス
Profileプロフィール
1948年生。『スベリヒユの冷たい夏』など詩集十六冊。長編評論『安西冬衛』、評論集『ジジイの覗き眼鏡』がある。文校、冨上クラス修了生と〈詩遊〉を編集発行。日本現代詩人会会員。
《夜・詩の連続講座講師を兼任》
Messageメッセージ
スペースの関係で私の短い詩を紹介しておく。
「スベリヒユの冷たい夏」
記憶の彼方に今も見える
歳月の寂しい産褥の水音師の発句の世界では
浜を渡り、銀河を下り
今、馬は、愛の倉の庭にゆっくりと足を踏み入れた
「お父さん、お母様は何か悪いことをしたのですか」
ジジイの白衣、吐く息吐く歯、歯、歯、ハ、ハ、ハ、ハ
はは、母するするするする滑る歳月
さるすべりスベリヒユの冷たい夏
遠く夏祭りの鉦や太鼓の音が聞こえている
一年、二年、十年、二十年、三十年、四十年
私は、こんなジジイになっても
まだ、天神様の細道を乳母車を押して
ひとりとぼとぼと歩いている
(「詩遊」七十五号より)